自立。自主。選択。決断。祝福。応援。魅力。
優柔不断。複数の選択肢。迷い。浮気。
ビナー―ティファレト。17番目のパス。7番目の文字。ザイン、Z、剣・武器・槍。双子座。
法王と似た構図のカード。恋人です。
しかし構図は似ていますが、明らかな違いがありますね。
まず登場人物が三人である事、両脇に二人、中央に一人である事、これは同じです。
ただし法王の登場人物が三人とも人間だったのに対し、恋人のカードは二人の男女と天使で更正されています。
更に舞台は野外に移っています。
見たところ、荒野です。
林檎と蛇までいます。
おまけに二人の男女は裸です。
これではまるで、愚者に逆戻りしたようです。
愚者から法王まで地道に発展し、せっかく社会を築くところまで来たというのに。
が、やはりこれは法王の後に来るカードです。
愚者から法王まで紆余曲折がありながらも発展して来ましたが、それはいったん法王で完成を見ています。
法王は一つの完成形です。
けれど完成したからそれで終わり、ではありません。
法王で形成された完成は、非常に初歩的なものだからです。
そこから更に、一つ上の段階を目指してカードは進んでいきます。
そうなると、ここでもう一度自我の確立、愚者で突きつけられた冷酷で厳しく、それでいて優しく暖かな選択が生じます。
ですから性質としては、愚者の後継者と判断するのが一番しっくり来ます。
愚者は自我を確立するかどうかの判断を投げ出されましたが、ここでは更に複雑になっています。
男性は女性を見、女性は天使を見、天使は正面を向いています。
ここで問いかけられる問いは、自分を手に入れるかどうかではありません。
男性は女性を見ています。女性は天使を見ています。そこには二人の意志が示されています。
何を見て生きていくか。何を選んで生きていくか。
そして自分が見ているものを他人が見ているとは限らず、自分が選んだものが自分を選んでくれるとは限らず、
自分が見ているつもりのものが正しいとは限らない。
登場人物が増えた事で、0か1かではなく、0か1か2か3か……と一気に選択肢が増えてしまった感じです。
その分、現実でよく見る光景の為、馴染みはありますが、馴染みがある分、悩まされるカードですね。
04/06/19
どう生きるのか、どう進むのか。選択を前にする。
安全な用水路の側で生きるか、新しい新天地に旅立つか。個人的な「私」。
皇帝のように図太くもガッシリともしていない。だから誘惑の前でグラグラ揺れたりするかも知れない。
このカードは複雑だよなぁと思います。
「恋人」の名を冠していますが、一般的な恋人の意味ではないと思います。
ウェイト版では一人の男と一人の女、そして天使が描かれています。
他のデッキでは、一人の男と二人の女が描かれていたり、一人の男と一人の女、神官が描かれていたりします。
また、大アルカナではこのカードで初めて、複数の人物が登場しますね。
これまでのカードは単体でしたから。
一人の男と一人の女、そして神官が描かれているのはわかりやすいですね。
結婚です。しかし、それは純粋な「男と女が結ばれて結婚する事」とは意味合いが違います。
二つの異なるものが一つに混ぜ合わされる統合や結合であったり、それを決定するという意味じゃないかなと思います。
一人の男と二人の女の場合は、もっとわかりやすく選択ですね。
異なる二つのものを前に、自分の意志で選ぶことが描かれています。
一人の男と一人の女、天使が描かれているウェイト版系のカードで面白いのは、
男は女を見て、女は天使を見て、天使は前を見ている、もしくは何も見ていない構図になっています。
男とは現実的に得られるものとして女を見ていますが、女は現実的に得られる男を見ずに理想や妄想たる天使を見ている。
天使はそこにいるけれど、何も語らず何も与えてはくれない。
でも女には蛇の囁きが聞こえるから、天使が気になってしまう。
ここでもやっぱり、異なる要素が存在しています。
で、それがじゃあ何なのかと言いますと、これはやはり皇帝の対になるものではないかなと思います。
皇帝は自分の意志と、自分の考えで、新しいものを開拓していきます。
恋人の場合は、ビナーの中にすでにいろんなものがあって、そこには色々と興を引かれるものが存在しています。
じゃあその中でぬくぬくと安住しているのか、はたまた自分で自分の欲しいもの、得たいものを探しに行くのか。
人間臭いカードだなと思います。
誰だって面倒な事より楽な方がいい訳で、楽が出来る道があればそっちを選びたいものでしょう。
しかし恋人では、その楽なものを提示しながら、
「それで貴方はどうするの?ここに止まるの?」と選択肢が突きつけられています。
だから選ぶのに迷うとか、一つに決められないのもこのカードですね。
優しいけど頼りない男性と、頼りがいがあるけど優しさが足りない男性、
どっちも欲しくて決められないような感じでしょうか。
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