衝動。集中。勢い。抑制。見せ物。盲目。誘惑。魅力。邪魔。そそのかす。
集中。抑制。溺れる。盲目。自制。コントロール。解放。目が覚める。職務に忠実。
ティファレト―ホド。26番目のパス。16番目の文字。アイン、O、目。山羊座。
一組の男女と悪魔。
悪魔のカードです。
このカードも割と嫌われていますね。
吊し人、死神、塔と並んで嫌われるカードの一つでしょう。
構図はこれまでに二度見かけたものですね。
法王、恋人と同じく三人の登場人物で三角形を描いています。
法王が二人の信者と法王、恋人が一組の男女と天使だったのに比べ、悪魔では一組の男女と悪魔になっています。
おまけに悪魔に描かれた人間には、尻尾と角が生えています。
他にも違いがありますね。
法王では二人の信者は背中を向けています。
恋人では二人の人間は表を向いています。
あくまでも二人の人間は表を向いています。
法王と言うより、恋人により近い構図になっていますね。
構図も注目すべき点がありますが、何より注目すべきは、このカードが十五枚目のカードだと言う事です。
これまで愚者が提示した問いから端を発し、法王で一つ目の結末を迎え、次の段階では運命の輪で別の結末を迎えました。
そして三つ目の結末は悪魔です。
ここに悪魔が来ると、してやられた気分になります。
降参というか一杯食わされたと言いますか。裏切られた、と言うのが近いですね。
ここで悪魔のカードを迎える事で、運命の輪以前と以降は大きく違うのだと、ハッキリ断言されています。
若いカードに合ったシンプルさが消えてしまいます。
その分、どこかで見た風景とどこかで体験した経験が、ありありと浮かんできます。
各々の国には法律がありますし、学校には校則があり、会社には社則があり、あちらこちらでルールがあります。
群れを離れては生きられませんから、そのルールの中で妥協したり譲歩したりしながら、
それでも自分の望む方向に進もうと人は努力します。
厳しい結果を突きつけられたり、指導されたり、言葉を濁されたり、親切にされたり、
あやふやでわかりづらい世の中で人は生きています。
色々なものに縛られて、色々なものを背負って、色々なものを愛して、色々なものを抱えて、人は生きていきます。
正義も吊し人も死神も一生懸命で必死です。
だからこそ親しみが持てるカードでした。
けれど、悪魔はそうした人の生き方や欲望や努力を、一刀両断切り捨てます。
嬉しさも悲しみも喜びも挫折も夢も失望も愛も憎しみも、その一つ一つの裏には人それぞれのドラマがあり、
他者には伺い知れない深い深い思いがあるものです。
けれど、悪魔はそれを全部一緒くたにしてしまいます。
全てのありとあらゆるものは、同じ一つのものから派生したもの。
愛も優しさも欲望の一つの現れ方、善意も親切も欲望の一端。
でも哀しいかな、それは間違っていません。
間違っていないからこそ、悔しい気持ちになります。
しかし、ここで悪魔を認める事が出来ないと、次のカードには進めません。
ここで否定されて己を見失うか、それとも今まで築いてきた己を信じるか。
誰にも認められなくても、己を支えていけるか。
己の存在を己が必要とするか。
よっぽど自分に自信がないと無理ですね。
ですが、悪魔はそれを要求しています。
何があっても揺るがない、鎖に繋がれても膝を屈する事はない、そんな我を手に入れたかどうか。
そして、ありのままを受け入れて認める度量、または開き直りがないと、
それこそ次のカードで再構築が出来なくなります。
と言う事で、次は塔ですね。
04/06/19
このカードはあれですね、死神と対になっています。
別の意味で邪魔されます。
このカードでは、自分のやらなきゃいけない事をやろうとしているのに、
何だか邪魔ばかり入ってくるようなものです。
例えば仕事が溜まっているのに飲み会の誘いが増えたり、電話がかかってきたり、
メールがたくさん送られてきたり。さぁ、集中するぞ!と言う出鼻をくじかれる感じです。
そう言う誘惑にも負けず、脇目を振らずに頑張れたらいいのですが、
現実的には人付き合いの関係やしがらみなどで、そう言う訳にもいかなかったり。
自分のやりたいように行動出来なかったり、制限されてしまう事がありそうですね。
それで苛々したり、反対に嘆息するような事もあります。
ただ、それとは反対に、そう言った数々の邪魔も何のその、自分の道を突っ走るカードにもなり得ます。
良い悪いは別にして、これだ!と言うものがある人は、ものすごい集中力を見せるでしょう。
周りに何を言われようと止まらない感じですね。
まぁ、それも行き過ぎると困ったものかも知れませんが、
そう言う尋常でない集中力があるからこそ、見えるものや出来る事もあったりする訳で、
これはケースバイケースですね。
恋愛でも恋が始まったばかりで盲目的になっちゃったりしていると、
その時は楽しいけれど、後になると我に返ったりする事があるかも知れないし、
そのままの勢いで結婚まで突っ走るかも知れないし、
仕事でも残業が続こうが休日出勤が続こうが、死にものぐるいで働く事もあるだろうし。
そう言った状態に、ある種のトランスしちゃってる事もあれば、
何でだよ!と不満がぐつぐつ煮えている事もあるでしょう。
どっちにしろ、大変なカードでしょう。
巻き込まれている間は疲れも忘れてるでしょうが、現実に立ち返った時にドッと疲れそうですね。
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