カードの中には、いかにも不吉そうなカードが存在します。
「死」や「悪魔」などは名前からして「ちょっと待ってよ」と言いたくなりますね。
「塔」は名前は何て事がないですが、絵が不吉っぽいと感じるかも知れません。
しかし、タロットに「悪いカード」は存在しません。
カードが悪いと感じたら、
それは貴方の中の恐れや不安が「このカードは悪いカードだ」と思いこませているのでしょう。
例えば、「死」のカードは一般的に「何かの終わり」のような意味合いです。
ここで質問です。終わりって悪い事でしょうか?
全ての物事には終わりがあります。興亡と言う言葉がある通り、永遠に不滅な物は存在しません。
そして終わりがあるからこそ、再生もあります。
死は苦しみを乗り越えて、生まれ変わっていくカードです。
誰だって苦しいのは嫌です。でも、死はあえてその道に踏み込んでいきます。
そうしなければ、自分が生まれ変われないから。
そんな強さと厳しさを自分に課したカードとも言えます。
「悪魔」はどうでしょう。これは一般的に「執着」とか「欲望」のカードですね。
では、また質問です。執着心や欲望とは、悪いものでしょうか?
もし人間に執着心や欲望がなかったら、今の世が存在しているでしょうか。
何かを成したいと思う強い気持ちが、様々な苦難を乗り越えて多くの物を作り上げてきました。
執着心も欲望もなく、人は生きていけるでしょうか。
「生きている」時点で生に執着しています。それをなくしてしまうのは、反対に恐ろしい事ではないでしょうか。
悪魔は、既存に捕らわれないものを生み出す為のエネルギーの源泉とも言える訳です。
もちろん、これらはカード自身の意味合いです。
それをどう生かすかは、人次第と言う事ですね。
何でも切り捨ててばかりいれば全てをなくすかも知れないし、
自分の欲望だけを優先させていれば破滅するかも知れません。
けれど、それは決して「死」や「悪魔」が象徴するもの――
終わりや欲望が悪しきものだと言う事ではありません。
終わりも欲望も、それ自体に善し悪しはありません。
問題はそれを使う側ではないでしょうか。
どのように使うのか、どのように使われてしまうのか。
欲望をコントロールして、自制するか。
欲望をコントロールできず、飲み込まれてしまうか。
繰り返しますが、カード自体に善し悪しはありません。
それを「悪い」と感じる心の奥の恐れや不安、そして後ろめたさが問題ではないでしょうか。
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