「カードの意味がわからない」
タロットを始めたばかりの人は、ほとんどこう思うのではないでしょうか。
確かに幾ら絵で読みやすいと言っても、
いきなりカードを見せられても何もわからないでしょうね。
ところでちょっと話がずれますが、私はプログラムが好きです。
けれどキチンとプログラムの勉強をした経験はありません。
リファレンス片手に悪戦苦闘している間に、
いつの間にか自分なりのプログラミング作法が形成されていました。
そう言ったいい加減な偽プログラマですから、知らない命令はたくさんあります。
コードの書き方も綺麗ではありません。
推奨される方法を知らない事も多々あります。
流行にも疎くて、ライブラリの活用もできません。
プロの人から見ればヘンテコリンな汚いソースに見えるでしょう。
プログラムはとても面白いです。
正解が一つではないからです。
例えば時計を作るとしましょう。
この場合、必要な動作は「時刻を取得する」「表示する」と言う動作です。
しかし、たかが時計でもソースを書く人によって書き方がガラリと変わります。
皆が皆、自分流のスタイルを持っています。
一つにまとめて書くのが好きな人、短く区切るのが好きな人、色々です。
そして滅茶苦茶な書き方をしても、「時刻を取得する」「表示する」この動作さえ合っていれば、
問題なく時刻が表示されます。
プログラムはとてもシンプルで、それでいてどこまでも広がりがあり、柔軟です。
タロットもプログラムと同じです。
カード1枚にはたくさんの意味があります。
それらをどう組み合わせて、どう解釈するか。
過程は一つではありません。
そして正解も一つではありません。
でも導かれる答えは一つなのでしょう。
カードの意味を暗記する必要はありません。
暗記する事で解釈出来るのであれば、解説書を丸々暗記した人はリーダー(解読者)であると言う事になります。
でも本を暗記したからと言って、カードを解読できるとは限らないでしょう。
例えば「カレーライスの作り方を答えよ」と言う質問があったとしましょう。
「材料を切って炒めて、煮込んで作る」と言う作り方を知っていれば質問に答える事が出来ます。
でも作り方を知っているからと言って、おいしいカレーを作れるとは限りませんよね。
カードは多様であり豊かです。
その意味合いは刻々と変化します。
場に展開されたカードによって色彩は変わります。
リーダーに必要なのは、物語を読み解く能力です。
このカードは何を訴えているのか、このカード達は隣り合う事でどう意味が変化するのか、
それを汲み取らなければなりません。
一番重要なのは、自分なりの系統を作り出す事です。
例えば、女帝のカードを見て「冷酷な人」と言うイメージが浮かんだとします。
でも、それが納得できる理由があるのなら、一般的なカードの意味から外れていても何も問題はありません。
「本と違うから」「聞いた事がないから」間違っているとは限らないのです。
納得しうる根拠の上で系統を作り上げるのならば、それは立派なカードの象徴です。
また、意味の暗記は「意味に頼ってしまう」と言う弊害があります。
「このカードは、この意味だ」と言う先入観や記憶が解釈の幅を狭めてしまう場合もあります。
とは言いましても、何も手がかりがない状態で系統を作るのは難しいですね。
系統を作るためには、やはり1枚1枚のカードに対する理解を深める事と、各カードの繋がりを考える事が必要でしょう。
カードを見てそこに描かれている事、描かれていない事を考えてみる方法から始めると良いでしょう。
愚者のカードを例に取ってみましょう。
描かれているのは、「太陽」、「遠くの峰々」、「崖」、「犬」、「男性」、「荷物」、「花」でしょうか。
太陽は何を意味しているのか?
遠くの峰峰は何を意味しているのか?
犬は何を意味しているのか?
男性は何を意味しているのか?
荷物は何を意味しているのか?
そう言った事を、自分なりに考えてみましょう。
色彩も大切です。
愚者のカードの場合、基本色は黄色です。それに太陽の白と、山の青があります。
なぜこのように彩色されているのか?
そして描かれていない事。
なぜ若者は崖にいるのか?
なぜ若者は上を見上げているのか?
なぜ犬はほえているのか?
若者はどこから来たのか?
若者はどこへ行くのか?
若者は何者か?
荷物の中身は何だろうか?
そう言った事も考えてみましょう。
1枚1枚がかなりなボリュームなので、一度に全てを見るのは難しいかも知れません。
1日に1枚、1週間に1枚ずつ眺めても良いでしょうね。
続けていけば、各カードのイメージが何となく出来あがっていくでしょう。
また、カードをテーマにストーリーを練る手法もあります。
1枚のカードを元に、色々なストーリーを組み立ててみます。
愚者ならば、彼の生い立ち、旅に出るキッカケ、旅の道中の事、旅の結末など。
そして1つのパターンだけでなく、複数のパターンを作っていきま。
例えば家出した若者の話、仕事中のある一幕の話、冒険者の話、ある約束の為に旅を続ける話……などなど。
思いつくままに、色々な話を作っていきます。
そうしてる間に1枚のカードから様々な意味をくみ取れるようになるでしょう。
「その方法はわかりにくい、もっとわかりやすく!」と思った方。
覚えようと思わずに、解説書を眺めながらリーディングしましょう。
「え!?それでいいの?」と思われますか?
いいんです、別に。
試験ではないのですから、解説書を見たままリーディング、大変結構。
意味を思い出せなくて唸るよりも、解説書を見ながらリーディングに集中しましょう。
そうやって繰り返している内に、少しずつ飲み込めてきますよ。
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