誰にでも思い出があります。良い思い出、悪い思い出、色々な思い出があるでしょう。そして、思い出には時間が経つに連れ美化されやすい傾向もあります。
良い思い出はより美しく、忘れてしまいたい思い出は心の奥に仕舞い込み、綺麗で心地よい思い出がクローズアップされやすくなります。そうやってどんどん思い出を修正し、整理していくのは、現在の状況も関係しているかも知れませんね。
例えば「毎日毎日、納得できない仕事をさせられて、言いたい事も言えずに頭を下げる生活に嫌気が差している」、そんな風に思っている人は「子供の頃は良かったな、あの頃は怖いもの知らずだからポンポン好きな事を言って、自由だった」そんな風に思い出すかも知れません。
例えば「腹の探り合いばかりする人間関係にウンザリ、みんな冷たくて余所余所しくて上辺ばっかり。もっとお互いに思いやるったり本音で心の交流がしたい」、そんな風に思っている人は「昔は良かったな。本気で怒ったり泣いたり笑ったりして、楽しかった。素朴だけど本音で話し合って理解し合う人間関係が築けていた」そんな風に思い出すかも知れません。
ですが、本当のところはどうでしょうね。実際には子供の頃も今も、そう大差ないのではないでしょうか。子供は純粋でも無邪気でもありません。大人に比べれば知恵は少ないですが、子供なりに親の顔色も伺うし、教師の手前で対面を取り繕う事も知っているし、子供同士の人間関係にも仁義や遠慮、派閥があります。
そうした事をスッポリ忘れて「あの頃は良かった」と思うのは、一種の現実逃避ではないでしょうか。今の現実がどうしても受け入れがたいから、せめて昔の現実は素晴らしかった、私は素晴らしい現実を知っている、そう思いこむ事で心のバランスを取ろうとしているのではないでしょうか。
けれど、繰り返しますが今も昔も同じです。良い事もあれば悪い事もあったでしょう。
と言う事は、貴方が昔を素晴らしいものと懐かしむように、今を素晴らしいものと受け入れる事も可能なのではないでしょうか。
否定する事でバランスを取るのではなく、受け取り方を変えてみてはいかがでしょう。そうする事で、思い出ではなく、今の現実が素晴らしいものになると思いますよ。
カード:カップの6、ソードのキング(R)、悪魔
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